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3章:父と息子 (1/23)

3章:父と息子

ゆぃちゃんと別れた後、おれは自分独りでは抱えきれないようなやりきれない想いを心の奥に抑え込みながら、一度も後ろを振り帰ることなく足早に歌舞伎町を後にしていた

(ここに来ることも…もうないんだろうな…)

おれは感慨深げに改めてそう考えた

(今日のことも早く吹っ切ってとりあえず少しずつでも前に進まなければならない)

そう己を奮い立たせたおれは、いつもよりもさらに歩幅を広げ、冷たいコンクリートで作られた大都会の地面を力強く歩き出し、喧騒を避けるように誰も待ってはいない暗い部屋へと独り帰っていった

(ゆぃちゃんのこともなるべく早く忘れないといけない…)

ゆぃちゃんとはたった二日間、時間に換算してしまうと本当に短かい時間、二人で同じ空間を共有していただけの関係であるはずだった

おれは風俗店でゆぃちゃんの性のサービスを金で買い、エッチなサービスをして貰っただけの人間である

でもたしかにあの店で二人は偶然再会し、そしておれはゆぃちゃんとの辛い別れを経験していた

ゆぃちゃんとの二人だけしか知らない淡い情事を一頻り回想した後、その甘くて苦い思い出を封じ込めるかのように、ここにはいないゆぃちゃんに向けておれは独り呟いていた

『さようなら、ゆぃちゃん』

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おれの風恋紀(仮) ©著者:@.T

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