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10章:# 10
少年は家に帰ると、いつものように机へ向かう。そこで宿題を終えると、母が帰るまでテレビを見る。友達との話題は、この番組から始まる。見逃す訳にはいかない。
母が帰宅して、食事を作る。そして父が帰る頃に、食事の支度ができあがる。少年は以前と比べて、穏やかな気持ちで夕食を口にする。学校で友達と語らうことも、最近ではとても楽しい。小川で過ごす時間も、少年の心に潤いを与える。そんな心地よさが少年の胸に収まっている。それを詳しく知らない父と母も、温かい目で少年を見守る。この温かな眼差しが少年を勇気づける力の一つなのかもしれない。
少年は両親と食事をとる。温かな時間を家族と過ごす。時には父と風呂に入る。そこには男同志の語らいがある。以前には、母と風呂に入ることもあった。少年が持ちえることのない、いたわりの思いが、そこに感じられた。
昔から変わることのない、家族の姿がここにある。少年が一人で悩み、苦しんでいる時も、この家庭で過ごす時間があればこそ、のり越えることができたのかもしれない。あらためて少年は感謝する。三人で寝床に入る時に、父と母の子に生まれたことを感謝して眠りにつく。
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少年日和 ©著者:香澄怜良
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