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3章:# 3 (2/2)


しかし授業の合間に苦痛がおとずれる。

それは、わずか10分の休み時間である。

なぜなら話す相手がいない中で、時として突然に話題が少年へ振られるからである。

昨日のテレビ番組の一コマが、クラスメイトの中で話題になる。

その誰もが知る話題を少年は黙って聞いている。

話のオチが自分に近づいていることを感じる。

まるで彼らのセリフが少年の神経を逆撫でるようである。

その時、少年は立ち上がり、迷わずに彼らの顔を見る。


「おじゃまんべえ!」


少年は声を張り上げて、TV でお決まりのポーズを取る。

どうにかしたいが、どうにもできない。

そのような葛藤が胸の奥でうごめく時、話に参加できない芸人が、最後に取るポーズである。

分かる者の中だけで、まずは静かな笑いが起きる。

その笑いが波打ちながら、徐々に教室へ広がっていく。

そこではクラスメイトの半分近くが笑っている。

このようなことが繰り返される。

彼らの話題に参加できないことはない。

しかし、その輪に入りたいと思うほど興味も湧かない。

だから入るタイミングが分からない。

話の矛先が、こちらに向かないのなら、そのまま通り過ぎてほしいくらいである。

しかし話のオチは、必ず少年に近づいてくる。

少年の神経を逆撫でるかのようにやってくる。

そのような辛い日々が繰り返された。

その繰り返しは、授業を受けることと同様に、彼が学校で過ごすために必要な儀式になりつつあった。

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少年日和 ©著者:香澄怜良

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