『２:６:２の法則を知っているか。』


その話をしたのは、もう１０年も前になる。


行きつけのバーに白咲姫乃の姿があった。


隣に座り声をかけたことが始まりだ。


姫乃は決して目立つキャストではなかった。


成績はいつも上の下。


ランキングに入ったり、入らなかったり。


その境目を彷徨っているくらいだった。



彼女の口から仕事やお客様への愚痴を聞いたことはない。



スタッフに対して
"ありがとう"という言葉を、
どのキャストよりも使っていた。



その甲斐あってか、

「どのコがおすすめ？」

と、聞かれると姫乃をおすすめすることが多かった。



スタッフも人間だ。




愚痴や不満を口にするキャストより、

頑張っているキャストを応援したくなる。