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110章:‡最初で最後のkiss‡
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110章:‡最初で最後のkiss‡
確かに、節子さんは明るさの少ない女性で、何時も相手の様子を伺うような所は有りました。
だから、本当に直ぐ隣だったのですが、なかなか声を掛けるチャンスがなかったんです。
私はこの性格ですので、老若男女問わず、だったのですが。
でも、それを逆手に取ったような、千葉家の皆様には、本当にムカつきました。
結局、ご主人には節子さんに対しての愛情なんてなかったんです。
当然の事ながら、お舅で在られるお父様にも、お姑で在られるお母様にも。
ルイがした行為は、節子さんのふしだらさが原因だ、となりました。
やり取りは約4時間近く続いたんです。
その間に1度たりも、3人のくちから、節子さんに対して優しい言葉も、悔やむ言葉も、労いの言葉さえも有りませんでした。
節子さんサイドが、節子さんを擁護しても、全てはご主人の苦労話に変換してしまいました。
冷たい人達でした。
ケン君も要らない、とハッキリ言いました。
このご主人は、節子さんの四十九日の前に、不倫相手だった女性と結婚式を挙げました。
足利市内でも、古くから在る、ちょっと有名な場所で。
後々知ったのですが、節子さんが息を引き取って、司法解剖に回されて直ぐに、この式場の予約を入れたそうです。
そんな事をしたなら、世間体が、と普通ならそれをかんがえますが、職場でも、ご主人は節子さんの悪口をずっと言ってて、後妻となった、ミツコちゃんの先輩との仲は、認められてました。
呆れる事に、父上の職場でもそうでした。
父上の職場には、節子さんのお祖母様も入所してたのですが、お祖母様は、もう、周りの事が理解出来ない状態で。
それをいい事に、如何に自分の息子が苦労させられたかを、周りに言ってたようでした。
亡くなった節子さんに、それを名誉毀損で訴える事なんて出来ません。
節子さんは、ずっと人に攻められ、それで人生の幕を閉じました。
死因についても、ご主人の暴力が直接の原因とはされず、結局うやむやなままでした。
司法解剖は、無料じゃないんです。
身内に請求が来ます。
でも、拒む事も出来ません。
それでも、うやむやなまま。
何とも言えませんでした。
お付き合い下さいm(_ _)m
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