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25章:†高僧と生き仏†
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どう説明したらいいのか、考えた。
本当の事なんて、とても言えない。
すると高僧が
『亡くなられた方のご供養に参ります』
とだけ言った。
『そうですか?
でも、確か仏壇は無くなったような事を聞いたんですけどね?』
『焚き上げを致します』
と言うと
『あそこん家は、悪いのがいっぱい居そうだから、しっかり頼みますね』
と言った。
航太の後を追う。
空き地に行く。
夕べ燃やした後が残ってた。
『航太、お婆さんの物を全部此処に持って来るんだ』
と高僧が言った。
航太は、面倒臭そうに中に入る。
何往復かして、航太が持って来たのは、もう、擦り切れたような着物が3着と、肌襦袢が2着、長襦袢が3着、それに、ズボンやブラウス、下着類だった。
それに、火を点けるのだが、湿っていて、なかなか点かない。
すると琉斗が、食堂に行くと、灯油缶を持って来た。
ほんの僅かだが、底に灯油が残ってた。
それを、纏めて積み上げた、衣服の山に掛けた。
そして、火を点ける。
一気に燃え上がった。
その周りに、水を撒いた。
でも、紙とは違うので、燃えカスが舞い上がるような事はなかった。
そして、高僧の読経が始まった。
みんなで手を合わせた。
が、最初の内は、薄い灰色の白っぽい煙だったのだが、段々とその煙は、黒くなって行き、僅かな衣類を燃やしてる間に、真っ黒な煙になった。
何か特別な化学繊維、と言うワケでもなかった。
でも、真っ黒、正に漆黒のような煙が立ち上った。
風は微風。
強い風ではなかったが、でも、無風状態ではない。
それなのに、その真っ黒の煙は、まるで気体ではなく、固体のように、黒い柱となって、空を突き刺すように登って行った。
不気味だった。
そして、いよいよ最後の最後が燃え尽きようとした時に、動物が絞め殺されるような、悲鳴が轟いた。
すると、空に雲が沢山集まって来た。
勿論、偶然だとは思うが、そのまま、にわか雨となった。
天気予報では、今日は1日晴れる、と言った。
とにかく、急いで部屋に帰る。
ご近所も、慌てて洗濯物を取り込んでた。
が、もう一つ不思議だったのは、その焚き上げた場所を振り返ったら、何の燃えカスも残ってなかった。
全てが燃えてしまっていた。
全てが燃え尽きてから、大粒の雨が降り出したのだった。
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