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18章:‡脱皮!‡ (27/27)

3人は、何時もの通り、お絞りで手を拭きながら、蓮が並べた小鉢を覗く。

『ほう?珍しいな。

和人参かい?』

このおじ様方、結構グルメ。

『そうなんです。

なかなか手に入らないみたいなんですけど』

『やっぱりさ、我々はこっちの人参の方がいいね。

あの、太くて短い人参は、確かに甘いが、なんか違うんだよな』

『これじゃ、熱燗を貰うかな?』

と言った。

そして、お箸を持って、3人揃って、早速人参を口にする。

『うん!やっぱりこっちだ!』

『ああ、香りが違う!』

『そうだよな?

それに、歯応えもいい!』

蓮が熱燗を用意する。

『今日は、昼が蕎麦だったから、ちと腹が減った。

何か適当に、海苔巻きでも巻いて貰おうかな』

『あ、それから、鰯の天ぷらと、湯豆腐だ』

『今日は、鮪がお薦めかい?

じゃ、鮪を貰おう』

『全部、3名様分で宜しいでしょうか?』

『うん、そうだよ。頼むね』

『はい、かしこまりました』

湯豆腐は蓮。

他の物を厨房に伝える。

〔《いらっしゃいませ!》〕

新規のお客様。

あ、あの人達!

地元の方ではないのだが、足利に仕事で来られると、必ず此処に寄る。

初めての時は、駅に近いから、と言う理由だったのだが、その時に、此処のファンになってくれた。

凪の巻く海苔巻きを、必ずお土産にお持ち帰りになる。

大将レシピの唐揚げとモツ煮が大好き。

お仕事上がりで、お腹がお空きなのか、色々と召し上がる。

『………あれ?

あのお姉さんだよね!?』

『はい、いらっしゃいませ。

何時もありがとうございます!』

『いや〜ちょっとご無沙汰してる内に、随分大人っぽくなっちゃって〜』

『うん、そうだよねぇ!

元気そうじゃない!?』

『ありがとうございます!

元気なたけが取り柄ですから♪』

ね?神様……

こうして、みんな集まって来るんです。

みんな、此処が大好きなんです。

大将の味が好きなんです。

神様のいらした、この空間が好きなんです。

神様、何とかなりませんか?

此処にずっと居たじゃないですか?

神様だって、居心地が良かった筈です。

ね?ほらまた、凪の味を、大将の味を、そして、神様のいらしたこの空間の癒やしを求めて、お客様がお見えになりました。

神様にも見えますよね?

『いらっしゃいませ!』
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†ふぁみりぃ† ©著者:Jude(ユダ)

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