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17章:†意外な新参者†
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有弥はやはり、航太を嫌ってるようだった。
同い年だから、余計かも。
幹也が、言った。
『航太な、住む所も金も無いんだ。
俺は、300万を貸してるけど、それは、全部、あの女将に行った……』
と、航太の一部始終を、話した。
そして、最後迄嫌がる有弥に
『理解してやって欲しい』
と言った。
幹耶は器の大きな奴。
いや、仕事に就いて、大きくなった。
幹耶はどんどん、成長してる。
それでも不服そうな空気を醸し出す有弥に
『有弥!りぃ姉が決めた事だ!』
と、芳樹がピシャリと言った。
芳樹は、航太を理解しようとする姿勢を見せ
『明日は俺、仕事が休みなんだ。
服や必要な物を買いに行こう。
俺は、ちょっとグレードの高い美容室で、チーフマネージャーをしてる。
買ってやる』
と言った。
芳樹は普段《〜してやる》
と言う言い方を嫌う。
勿論、蓮の影響。
でも、芳樹は芳樹なりの考えで、航太には敢えてそう言った。
この♂も、とにかく頭がいい。
それに職場でも、今や上に立つ立場。
ちゃんと、必要な意味を含んで、そう言った。
その意味は、芳樹の持論。
でも、何となく洞察出来た。
『ありがとうございます』
と、航太が同い年の芳樹に言った。
『航太、喰え!
姉ちゃんのお好み焼き、旨いぞ!』
と幹耶が、航太の取り皿に、お好み焼きを置いた。
『お好み焼き、僕大好き!
本土にお店在ってね、ホテルのみんなで、よく食べに行ったんだ。
大阪が本店のお店』
と、琉斗が言った。
関西と沖縄。
何だか不思議な組み合わせ。
『磨夜、美味しい?』
『ウン……マヨネーズ』
と言った。
すると有弥が
『そっか、磨夜ってマヨネーズなんだ〜♪』
と言った。
でも、磨夜は何だか嬉しそうな表情をした。
『この位?』
と、有弥が磨夜のお好み焼きにマヨネーズを掛ける。
でも、磨夜は黙ってる。
『じゃ、この位?』
と有弥がまた、掛ける。
『ウン……』
どうやら、有弥にはちゃんと、意思表示が出来るらしい。
つか、有弥も有弥で、ちゃんと磨夜を理解してる。
幹耶は、そのやり取りを、ジッと観察してた。
幹耶は、本当のプロになってた。
だから、自分よりも年上の航太に対しても、表現は相応しくないが、施設の園生のような感覚のようだった。
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