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18章:‡脱皮!‡
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確かに、和人参は、普段食べる短くてコロコロとした洋人参よりも、ちょっと渋みが有って、土の香りがする。
私が本当に幼い頃は、この人参が主流だった。
細くて長くて。
ごぼうと人参は、同じように目に移った。
ごぼうのように土が着いていた。
そして、固かった。
だから、初めて洋人参を見た時には、玩具みたいだと思った。
予約表を見る。
予約は今週いっぱいで、後は白紙だった。
もう、予約は取らないようだ。
何時も、沢山埋まってたのに、何だか寂しい。
『りぃ、レジカウンターに、挨拶状を用意して有る。
会計の時に1人ずつに渡してくれ』
と凪が言った。
『………』
水樹さんが、鰯を開く手を止めた。
鰯の天ぷら、人気だった。
『うん、了解』
それ以上何も訊けなかった。
ホールに行く。
やっぱりもう、入り口に居た人は、何処にも居なかった。
神様だったのだ。
もう、このお店に神様は居ない。
守る必要がなくなったから。
蓮が、カウンターに居る。
『りぃ、お疲れ。
そっち大丈夫?』
『うん、何とか。
凪、思ってたよりも、落ち着いてる気がするんだけど?』
『うん、お店に居る間だけね。
帰ると、殆ど口利かない』
『そっか……』
『磨夜どうしてる?』
『明後日診察なんだけど、もう凄く食欲有る。
朝もお代わりするし。
それに、随分話すようになったし、声を立てて笑うようにもなった』
『そっか〜。
俺、暫く凪と一緒に居てやりたいからさ、頼むね』
『うん、芳樹も有弥も琉斗も居るし、大丈夫だよ。
有弥がね、漫画をいっぱい買って来てる。
特に有弥とは気が合うみたい』
と開店らしい。
辰也が暖簾を出した。
〔いらっしゃいませ!〕
《いらっしゃいませ!》
ご近所さんトリオだった。
この3人は、もう年金で暮らしてる、お祖父さん達。
この凪の店で一杯やるのが、日課になってる。
特に深酒をされる事も無く、好きなお料理を数品召し上がりながら、ゆっくりとお酒を楽しまれる。
あの大将が、元気だった頃からの常連さん。
お通しが楽しみだと、何時も仰る。
『お?お姉ちゃんかい!?
珍しいな?
どうだ、あっちの店は?
また、お邪魔しようって言ってたんだよ』
『はい、ありがとうございます。
お蔭様で、何とか順調に』
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