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13章:†父の背中†
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もしかして?
と思えるお顔も結構在ったのだが、沢山の人達が居て、挨拶をしようとしても無理だった。
ホールには、夕べのように畳が敷かれ、直会の準備が始まった。
でも、ご近所をもてなす事が中心なので、私達は遠慮する事にした。
この辺、仏式の場合は、ご遺体を焼いてる時に、お昼が振る舞われる。
ずっとそうだった。
でも、私にはどうしても、それに納得出来なかった。
今、焼かれてるのに、その間にお食事。
しかも、それ迄悲しんでたのに、みんな明るい。
どうして、そんな風に切り替えられるんだろう?
お酒も出る。
酔って赤い顔をした人達が、窯の前に行って、水を換える。
不思議な感覚だった。
でも、凪達はそれをせずに、帰って来てからの食事になるらしい。
琉斗が、唐揚げを揚げ始めると、悠斗がお刺身の盛り合わせのお皿を用意し始めた。
悠斗は新たに大根で、小さな菊のような花を、お皿の数だけ作った。
その大根の花の上に、人参の千切りをあしらい、山葵を置くようだ。
例えは悪いが、玩具のような、そんなお皿が出来上がる。
斎場に行かないで残った人達が、出来た料理をテーブルに運ぶ。
紛れて私も手伝った。
大将が、此処に居るように思えた。
〔りぃちゃん、疲れてるのに、ごめんよ。
助かるよ〕
〔りぃちゃん、唐揚げと刺身が5卓ね。
それと酢の物が3卓〕
〔遅く迄ありがとう。
これ、持って帰って、明日の朝ご飯のおかずにして〕
大将の声が聞こえた。
何時も笑顔だった。
面白い事を言っては、お客様を笑わせてた。
大将、凪頑張ってますから。
だから、ずっと見守ってて下さい。
凪は、若大将じゃなく、大将になります。
立派な板さんです。
みんな、凪の味が好きで集まります。
でもそれは、大将、あなたの味なんですよね?
私は大好きです。
世界一美味しいって思ってます。
大将、凪を料理人にしてくれて、ありがとうございます。
居酒屋凪。
凪は、自分の名前のこの店を、ずっとずっと大切にする筈です。
勿論、私達も。
凪の名前を付けたこのお店。
大将の、凪への深い愛情が伝わります。
凪は、大将をずっと尊敬してます。
これからも、ずっとずっとそうだと思います。
男の子は、父親の背中を見て育つ、と言うけど、凪は正にその通り、素敵な人です――――
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