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11章:†ユタの誤算†
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有弥が磨夜を見る。
『こんばんは』
と普通に声を掛けた。
『今日から此処に暮らす、冬木磨夜』
と芳樹が言った。
『あ、そうなの?
俺、三関有弥!宜しく♪』
と有弥が言った。
有弥は、誰でもすぐに友達。
何の拘りも隔たりも持たない。
磨夜の寡黙さも気にせずに
『俺、ちょっと着替えて来る』
と言うと、部屋に行った。
何故かミルフィーも着いて行く。
いい匂いがして来た。
『ね、お風呂入ってからにしようよ!』
と蓮が言った。
『うん!賛成!』
と幹耶がバスルームへ。
『このままにして措けば、味が凍みる♪』
と琉斗がお鍋に蓋をした。
『チャンプルーはお風呂から出て来てから作るね!』
と言って、テーブルに来た。
『琉斗、お疲れ。
いい匂い、旨そう』
と蓮が言った。
『じゃ、俺布団も敷いて来ちゃう!
ね、磨夜さ、西側のカーテンの中の方がいいよね?』
みんなの部屋には、1ヶ所だけカーテンで仕切れるスペースが有った。
今は開けたまんま。
『あ、その方がいいかもね。
俺も手伝う』
と蓮も、芳樹とリビングを出た。
2人がリビングを出ると、琉斗が出来たばかりのラフティーと、泡盛をグラスに注いで、翔の所へ行った。
『先に召し上がって下さい』
お線香を立てて、手を合わせる。
翔、大好きでしょ?
焼酎も角煮も。
良かったね♪
翔は、何も言わなかった。
どうして?
嬉しそうな顔もしない。
大好きじゃん?
豚肉の角煮だよ?
豚肉は栄養が有るって言って、よく食べてたじゃん?
それに焼酎だって……
どうしたの?
琉斗は、何時もの通り、深々と頭を下げた。
その時、電話が鳴った。
私が電話を取ろうとしたら
『姉ちゃん、僕が出る!』
と琉斗が急に立ち上がった。
そして、一言だけ
『誤算だった』
と言って、電話を取った。
『お待たせしました。
煌璃でございます』
何時もの、明るく、ちょっぴりおちゃらけた琉斗ではなかった。
『………僕から伝える。
僕は、ユタ。
それについては、後で話す。
僕がクッションになるから。
僕の誤算だった。
ごめんなさい……』
琉斗は暫く、黙って話を聞いた。
『お兄、蓮兄と代わるね』
そう琉斗が言ったので、私は、蓮を呼びに言った。
『蓮……電話』
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