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9章:†Smile for me†
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まだ1才半にもならない子に、わざわざお子様メニューを注文してくれたり、一番高いコースを注文してくれたり。
言葉には出さなかったけど、心で感謝した。
キッチンに伝票を届けて、カウンターに行く。
『水割りとパインと、キッズの林檎を宜しく!』
『あ、そっか』
と、蓮がパインを切りながら言った。
『ん?なによ?』
『もう、おっぱいじゃないんだっけ?』
『そりゃそうだよ。
もう、歩くんだもん』
『去年、お猿みたかったのに』
『まぁね。
でも、篠崎先生に似てるのか』
とつい呟く。
『何それ?』
『葵先生に似たら、綺麗になれるのに』
と言った。
『でも、篠崎先生だって、結構イケメンじゃん?』
蓮はサッサとパインを剥くと、林檎に取り掛かる。
『あんた、相変わらず器用ね?』
『りぃがぶきっちょなの』
『………』
誉めるんじゃなかった。
や〜な奴!
お客様がお帰りになる。
レジに行く。
『ありがとうございます』
と一礼する。
『オムライス、癖になる!』
と女の子。
『ありがとうございます』
『ハンバーグが美味しかったわね。
でも、ご飯がとても美味しいけど、随分いいお米使ってるんじゃない?』
とお母様。
『はい、魚沼産のコシヒカリなんです』
伝票を見ると、ハンバーグとディナーセットを召し上がっていた。
ディナーセット、ライス又はパン。
サラダとスープ、そして珈琲。
ご主人も、テンダーロインのディナーセットを。
カードを出されたので、それを通してサインを戴く。
そして、カクテル1杯無料券を2枚と、フルーツジュース1杯無料券を差し出した。
『次回ご来店戴けました時に、ご利用下さい』
そして、見送った。
このドリンク券は、この2週間はずっと渡す。
正直、カクテル無料はいいが、フルーツジュース無料は、キツい。
コストが違い過ぎ。
でも、大蔵省がそうしろ、と言うので、そうしてる。
農林水産省(店長)は、厳しいんじゃないか?
と言ってる。
文部科学省(ボブさん)は、カクテルだけでいいのでは?と。
でも、大蔵省が許可したので、こうなった。
最終的には大蔵省だ。
美味しい!
そう言って貰えるのは嬉しい。
私が作ってるワケじゃないけど、私が信頼してる料理人が作ってる。
ありがとうございます。
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