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4章:‡水と油‡ (25/26)

金子夫妻は、顔を強ばらせ

『じゃ、また来るよ』

とご主人が言って立ち上がった。

『自治会長に話しますから!

二万円だなんて。

三千円だそうですよね?

しかも、家は年度途中だから、来年度から収める事になってるそうじゃないですか?』

『まぁ、勘違いって言うのは誰にでも有るだろ?』

と奥方。

『そうだ!

いちいちそう目くじらを立てるモンじゃない!』

とご主人。

『妹には、確認をさせますよ。

勘違いが誰にでも有るなら、笹寿司さんだって勘違いかも知れませんから。

此処に住む以上、そうした事はきちんとしないといけませんからね』

と凪が言った。

『いや、こっちの勘違いだし、わざわざ確認はしなくても』

とご主人が言う。

『りぃ、今確認しろ』

と凪が言った。

私は、教えて貰った自治会長宅に、電話を掛けた。

〔はい、須藤でございます〕

年配の女性が出た。

『お忙しい処、失礼致します。

私、この度お世話になります、煌璃の桜木と申しますが、今お電話宜しいでしょうか?』

〔あらま!煌璃さん?

開店おめでとうございます!

お話って何かしら?〕

『はい、自治会費の事なんですけど、今金子食堂さんがお見えでして、商売をする家は、二万円だと仰ってるんです。

ですが、笹寿司さんにお訊きしたら、三千円で、今年度は途中だから、来年度から収める事になってるって仰るんですけど。

一応確認してみるようにって、笹寿司さんにこちらのお電話を伺いまして……』

〔二万円!?何の事かしら!?

この辺はね、何処の地区も三千円なのよ。

それに、お宅は途中からでしょ?

笹寿司さんが仰る通り、来年度から収めて戴けばいいの。

みんなでそう取り決めてるのよね!

ちょっと金子さんはまだそこに居るのかしら!?

随分とんでもない殊を!

来年は、組長さんが笹寿司さんになるの。

持ち回りなんでね。

いずれはお宅にもやって戴く事になるんだけど、金子さんは!?〕

『少々お待ち下さい』

と電話を保留にした。

『金子さん、自治会長さんが、お話したいそうなんですけど』

と言うと

『余計な殊迄、ペラペラ喋って!

家に帰ったら電話するって言っときな!』

と奥方が言った。

保留解除。

『お待たせしました。

お家にお帰りになったら、お電話差し上げるそうです』
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†ふぁみりぃ† ©著者:Jude(ユダ)

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