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7章:男の楽園 (4/10)

七海は、
「ありがとうございます」
と微笑んで黒服を呼び、モスコミュールを注文した。

春季もハウスボトルを飲む気にはなれず、かといって初回でボトルを入れる理由もなく、チンザノをロックで頼む。

「あ、じゃあ、私もやっぱりそっち!いいですか?」

彼女の、さばさばとして下手な遠慮をしてみせない所と、おそらく酒が強いであろう事は春季の気に入った。

「お、イケる口だなー」

「じゃあ、かんぱーい!」

瀟洒なグラスが心地よい金属音を響かせる。
話慣れしたふたりの会話は盛り上がった。

七海は今の春季の歳から歌舞伎町で生計をたてているらしい。
かれが昨日羽田に着いたばかりだということを話すと、まるで街全体の構図を把握しているかのように、どこの店が流行っているか、どの通りでキャッチをするにはどこの許可が必要か、あれこれと東京の案内をまじえながら面白おかしく話してくれる。

ハイピッチでグラスを空けつつ情報を頭に叩き込みながら、しかし春季は本来の目的を忘れてはいなかった。

「そんでさ、どんな子なの?その愛ちゃんってさ…」
七海のきげんを損ねないようにさりげなく切り出す。

「あれ?本指じゃないんだ?入口の写真で入る人、ほんと多いなー。えーと…」

「違っ、俺は…。いや、春希でいいよ」

東京に来て最初に捕まえられるかもしれない貴重な(?)女にここで訳のわからない話を始める訳にはゆかない。

「どんなって、あのまんまよ」

さして気分を害したふうもなく彼女は小首を傾げた。慣れた仕草。

「細くて可愛くて、お人形さんみたい」

「いや…顔は写真見りゃわかるけどさ、もっとこう、何つーか性格とか、歳とか。あ、もしかしてあんまり仲良くない?」

「ううん、あたしはよく話す方だと思うよ?あの子がお店に入った時から知ってるし。だけど彼女、ほとんど指名のお客さんとVIPに居るからねえ…来る時は同伴だし、しゃべろうにも」

「ちょっと待った」

春希は遮った。

「そのVIPって何?」
「あ、聞いてない?ったく、黒坂ってば使えないんだから」
七海は先程の黒服をちらっと見た。

「VIPってのはね、この地下に個室があって…」

彼女は声をひそめて、春季にわずかに身体を寄せた。
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生まれ変わりの詩(うた) ©著者:薫

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