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6章:上陸
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「ふー、寒ぃ!迷った迷った」
羽田に着いた次の日の21時。
春希は新宿区役所の前に居た。かじかんだ手を温めようと吐く息が白い。
今日の彼はストライプのシャツに黒いジャケットとパンツという薄着、しなやかな細身をひきたたせている。カシミヤのロングコートは暖かいが、どこの店に入るにしろ同業者と思われて入店を断られたら元も子もない、ということで駅のロッカーに突っこんできたのだ。
「ったく、なんでこう人が多いんだ」
羽田から新宿に移動して少し不動産屋を回っただけで、彼は東京という大都会が嫌いになりそうだった。
それでも、煌めくネオンは春希を少しだけ生き返らせる。
歓楽街は何処も同じ雰囲気を持って、
彼にやっと息を着く余裕を与えてくれた。
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生まれ変わりの詩(うた) ©著者:薫
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