5章:邂逅(かいこう) (3/8)

「はぁ？どっかの店の奴が、付き合いで、来たんだろ！きっと。
イケメンだろうが何だろうが男は昨日でうんざりだよ」

「いや、この辺じゃ見ない顔だぜ。なんかインテリっぽい奴だよ。さっき翔が付いた時に、東京から来たとか言ってたらしいし。
おおかた雑誌でも見たんじゃねーの？
相変わらず、モテるねぇ…オトコに(笑)」

「うっせ！人のことあーだこーだ言ってる間があったら、自分の掛けの心配でもしろよっ。
お前の客の奈々チャン、あれやばいぜ。前はカード使ってたのに、最近は現金で、しかもこの前のピンドンって、掛けだろ？」

「あー、なるほどね。どっかから借りてっかな。あいつももう切り時かもな…」

にわかに考え込む海斗を残して、春希はホールに足を踏み出した。

本来であれば支配人の松岡か、出勤しているときには社長の落合が付け回しをやるのだが、
客が多すぎて彼らの手には余る、
という理由で春希は卓を自由に移ることが許されていた。