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2章:♯2
まずは、どこにでもいそうな三十代の青年が登場します。
彼は中学までは良い成績を修めていました。
しかし高校の受験に失敗します。
中学三年で秋も深まる季節、人生について深く考え始めたのが理由の一つです。
試験で良い点を取るために勉強を続ける事が無意味に思えてきたのです。
その事を疑問に感じない、周りの友達が急に恐ろしく思えてきました。
「この私の感覚は、誰も味わう事がないのだろうか?」
そのように考え始めると、まずは勉強が手につかなくなります。
授業についていけなくなることはないけれど、周りの友達の話していることが、それまでとは違う内容に聞こえてきます。
自分ひとりが後ろ指を指されているような気がしてきて、それから間もなくすると誰とも話すことができない不思議な感覚に襲われます。
なにか分からぬものに恐れを抱くようになります。
そんな状態から立ち直るには、少しだけ時間が掛かりました。
学校の欠席も、百日くらい続きました。
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たくされたバトン ©著者:香澄怜良
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