仕事仲間である木村さんが亡くなってから暫くの間、やはり聖哉は落ち込んだ様子でいた。
そんな姿に梨沙はあえて慰めることはしなかった。



聖哉「 ただいま... 」



梨沙「 おかえりなさい。 」



聖哉「 ふう... 疲れた。 お前最近作品描いてる？タカシが心配してたよ。 」




梨沙「 あのね、聖哉... ちょっと。 」




聖哉「 何？？ 」




梨沙「 木村さんの奥さん、酷く落ち込んでるって聞いたから、私に何か出来ないかなって思って...
描いてみたの。 」




聖哉「 え？？ 」




梨沙は自分の部屋に聖哉を連れて行くと、そこにはキャンバスが置かれていた。




聖哉「 これ... 奥さんに描いたのか？ 」




梨沙「 私に出来る事これくらいしかないから... 」




その絵は暗闇の空に輝く沢山の星たちだった。
星座の下には静かな湖が広がっていた。



梨沙「 木村さん、出身が福島って言ってたから。 」




聖哉「 猪苗代湖か... 」




梨沙「 そう。」