9章:旅行 (2/43)

【葵】を卒業した次の日、ふみかはスマホを買いに行き、電話番号やメールアドレス、LINEのIDなどを全て変えた。


もともと友達もそんな多くなかったから、最終日にメモした数人だけで問題ないというふみかのさっぱりした性格は、見ていて清々しい気持ちになる。


8月から働き出す予定だったふみかだが、8月は実家に帰ったり、学びたかったことを学んだりしてのんびり過ごし、9月から仕事を探すと言っていた。

僕も8月に入り仕事が少し落ちつく時期だったため、平日に有給を取ることも問題なさそうだった。


「ふみか、この前約束した旅行行くかい？」

ベッドでぐったりしていたふみかだったが、目をキラキラ輝かせて起き上がった。

「行きたい！行きたい！
どこにしよう！」

ふみかは満面の笑みで僕の腕に絡みついてきた。

その様子は、昔買っていたネコが、またたびを貰った時の様子ととても似ていた。

ふみかはスマホを取り出し、ある場所を指定した。