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6章:男の事情 (1/6)

6章:男の事情

「ところでスーさんは、どんなデートを楽しんでるんですか?」

年下の女性から突然の切り返し。

聞き手として悠長に構えていたので、急に懐へ入られると少しつらい。


「そう言えば、最近はデートの話も聞かないわ?」

馴染みの店員の一言ですら、心の傷に塩を塗るようなものである。


「アケミには、前から話しているだろ」

怒りを込み上げることもなく、どうにか冷静に答えを返す。

しかし、その後に続く話を見つけることができない。


「仲の良い頃は、言葉が必要ないものね」

アケミのやさしい一言にも、棘を感じてしまう。

彼女には、そのつもりはない。

もしくは彼が見つけ出せないフレーズを引き出そうとしているのかもしれない。

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赤い果実 ©著者:香澄怜良

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