1章:SHUYA (122/122)

愁也は相変わらずコバの家でしょっちゅう晩酌をしている。冬には室内で鍋を囲み夏には大勢でバーベキューを楽しむ。







店は順調に売り上げを伸ばし未だに都内から足を運んでくれる元常連さんもいた。
そしてもう一人、馬鹿な男が増えたのだ。
わざわざ稼げる有名店を辞め愁也と一緒にまた働きたいという理由でシゲルが引っ越してきたのだ。







シゲルはユカとは別れ未だに独身。トラブルを運んできた洋子はあれから数回訪れたがいつの間にか来なくなっていた。







愁也はあの事件のだいぶ後に結婚し父親となった。
毎日が忙しくあっという間に時間がすぎた。






しかし海を眺めるたび、成長したチロを見るたび、ほんの些細な時の中であの彼女をふと思い出す。
梨沙が幸せでいることを願いながら愁也は穏やかな残りの人生を歩んでいく...