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2章:花嫁の左手
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それからは、幸せにあふれた彼女と語り、祝福をし、「結婚式にはぜひ来てください」というオファーに「もちろん」と私は喜び、「麻由ちゃんには白無垢が似合うよ、お色直しのドレスはいっそ、マリー・アントワネットが好んで着た、クラシカルな小花柄はどうだろう」と話は尽きなかった。
女性にとって結婚式の装いは、生涯に一度の晴れ舞台だ。
「いくらでもお手伝いをするので、限られた予算の中でも工夫をして、想い出に残る式を」と私は勧め、彼女も夢を馳せてうなずいた。
お開きの程よい時間となり、私は「今日はお祝いだから」と会計を済ませて店の外に出る。
「坂本さん。すみません、ごちそうさまです」
「全然。気にしないで。このお店は安いじゃない。それより、お式の日どりが決まったら教えてね」
「はい、もちろんです」
「あ、そうだ……聞き忘れてた。ご主人になる方って何歳でいらっしゃるの?」
麻由は無表情を保ち、己を防御しながら答えた。
「ーー五十歳です」
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