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2章:花嫁の左手
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期間は、半年先の春から一年間。
クライアントからの要望は、女性だけで構成するショーにするつもりなので、スタッフも女性で揃えて欲しいとのことである。
いの一番に麻由の顔が眼に浮かび、早速に連絡を取って打ち合わせをすることにした。
運良く彼女のスケジュールは空いており、私も才能あるスタッフを提供出来ると、嬉しくなる。
麻由の仕事は舞台公演を、よどみなく進行する司令塔のような役割である。
舞台袖でインカムを付け、照明・音響・道具に指示を出す。
細部に気配りが出来なければ成立しないポジションだ。
ーー麻由なら大丈夫。
私は喜び勇んで、打ち合わせ場所に指定した、あのイタリアンの店に向かった。
「麻由ちゃん、久しぶりだね」
「坂本さん! お久しぶりです。この度はお仕事をいただき、ありがとうございます」
彼女は会社に所属をしていない、フリーランスのスタッフである。
何ら縛られたく無い、思惑を表していた。
久しぶりの再会。
お店お勧めの赤ワインを抜栓してもらい、オードブルを注文した。
「麻由ちゃん、変わり無い?」
「え〜と。実は……」
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東京ショートストーリー ©著者:七斗
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