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2章:花嫁の左手 (5/27)

大ぶりのワイングラスには、白熱灯の柔らかな灯りが朧げに映り、麻由の白い指が、つうっと灯火をたどった。


ーーどんな生い立ちを過ごしたのかは、まだ知り合って数年の私などが突っ込んで聞くべきでは無い。

ただ、彼女の完璧を良しとし、追従を許さぬ仕事振りに、“隙”というグレーゾーンが赦されぬ日々を重ねてきたであろうことだけは推測出来た。


更け行く時間はするすると過ぎ、店の前で笑顔の挨拶を交わして別れる。
月明かりに包まれた後ろ姿は、好んで着ていた漆黒のワンピースを曖昧(あいまい)に覆い、そして角を曲がってフェイドアウトした。



※※※※※※


それから一年は、私の仕事依頼と売れっ子である麻由のスケジュールが合わずに契約が叶わなかったが、或る日、新しい分野の仕事が飛び込んで来た。

現在、飛躍的に増えゆく外国人観光客向けに、台詞の無いミュージカルパフォーマンスを、大手プロダクションが企画立案したのだ。

出演者も、立ち上げの数ヶ月は豪華キャストで占め、マスメディアに対する話題性の浸透を目論んでいる。




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東京ショートストーリー ©著者:七斗

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