1章:よっちゃんの恋 (15/20)

だけど、『色恋関係は、当事者同士で解決して下さい』って言われちまってさ。

ーーおいら、警察が引き上げた後、インターホンを鳴らし続けて……やっと和香がドアチェーン越しに顔半分出してくれた。


『和香、おめぇ、どういうつもりだ？』

『だって、よっちゃん仕事がしょぼいから光熱費だってままならないじゃない……それに家だって持ち家かと思ったら……賃貸だったし……あたし、そんな貧乏嫌よ』

『そりゃあねぇだろ。ふたりで暮らす物を色々揃えて、そんで和香の欲しいものを買ってやったじゃねぇか』

『旦那も心を入れ替えるって、毎日仕事に行ってるし、やりなおしてみようと思うの……よっちゃん、今までありがとう』

『おい。おめぇが、苦労してもおいらと一緒に居たいって言ったんじゃねぇかよ！』

『だって、旅行にも連れてってくれないし……よっちゃん、歳だから夜の生活も1割バッターだしさ。もう二軍……ファームよ。いや、戦力外通告っつうやつ？ クビね。はははは』

『………………………』

『よっちゃん、あたしあの時はさぁ、ほんとに困ってたの。勢いで家を飛び出しちゃって、行くとこなくてさ。でも、思い直しだんだ』