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10章:別れと出会い (2/6)

4月17日・第三日曜日。
俺は彼女に会いに行った。


彼女は不機嫌だった。

不機嫌・・・大歓迎で好都合だ。


会いに来い、と言った相手に背を向けてスマホをいじっている彼女。

会いに来てやった俺は、彼女の前に仁王立ちした。


そして、冷静に言ってやった。

俺を無視してスマホをいじっているあなたが如何にダメな人間で、
どれ程俺を苦しめたか、
これ以上出来ない位に威圧的で冷静に言ってやった。

能面の様に無表情で、威圧的に。

俺は一方的に30分近く彼女を責め続けた。

彼女は俯いてスマホを握りしめて、
震えながら涙を溢していた。

優しかった俺の豹変ぶりに
どう対応していいか、頭の中がパニックなんだろう。

めそめそ泣く彼女を見下ろしていたら、どうやらイライラしたらしい。

気付いたら怒鳴っていた。



彼女は震えて泣いていた。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。


俺はもう見たくなかった。
聞きたくなかった。

これ以上ここに居たら、
怒りが更にエスカレートしそうだ。

俺は部屋から玄関に向かい
スニーカーのかかとを踏んだまま、
彼女の部屋を後にした。


ドアを閉めても、
彼女の悲鳴の様な泣き声が聞こえていた。

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理想の女(ひと) ©著者:トレモロ

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