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20章:金と権力
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峰とサラは、ホスト狂いの女達に目を付けた。
峰の組で面倒見ているホストクラブのオーナーに話をつけて、
トイレに一枚の貼り紙をした。
「貴方の望みを叶えます」
たった一枚の地味な貼り紙だけで、仕事の依頼は殺到した。
お気に入りのホストと彼女を別れさせたい。
お気に入りのホストとセックスがしたい。
お気に入りのホストをナンバーワンにしたい。
ヤ○ザ側の人間からしたら、ホストはただのパシリで金ヅルだが、堅気の女からしたら、金を貢ぎたい程魅力的なアイドルなのだろう。
一番多かった依頼は、
「ホストと彼女を別れさせたい」
という類の依頼だった。
峰とサラは、依頼人の女と話をつけると、10万を受け取った。
そのうちの1万を、ホストに渡し、
依頼人の女の前で、彼女と別れる茶番をさせた。
もちろん実際には別れていないが、依頼人の女は簡単に騙され、
満足そうに高笑いをするのだ。
「お気に入りのホストとセックスがしたい」
と、いう依頼も多かった。
峰とサラは、依頼人から15万受け取った。
そしてホストに3万を渡し、依頼人の女をホテルに誘う様に指示をした。
依頼人と話をする時は、サラも峰も、金のために親身になって話を聞いた。
金を受け取り、依頼人を見送った後は、
くだらない内容に唾を吐きながら、ホストに電話をして命令するだけ。
峰とサラは、簡単に大金を荒稼ぎし、面倒が起こる前にトイレのビラを剥がした。
長く続けられる金儲けでは無かったが、短期間でまとまった金を手にし、
二人はホストクラブのオーナーを呼んで豪遊した。
破って捨てた貼り紙は、暖かい春風に乗り空高く舞い上がった。
ヒラヒラと消えていく紙切れを見て、
峰とサラは鼻先で笑った…。
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人魚姫 ©著者:涙 しずく
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