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16章:薬
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冷蔵庫の裏には、ごちゃごちゃとコンセントの線があるだけだった。
さっきまで確かに光っていたのに……。
雨の音が強くなってきた。
閉めきったカーテンから、日の光がもれる。
サラは、流し台で顔を洗い、コントロール出来ない感情のままベッドに潜りこんだ。
不安でたまらない。
何が不安だかわからないけど、死にそうな位不安だ。
ベッドの中でじってしていると、今度は峰の心臓の音が止まっている様な気がしてきた。
何度も何度も確認する。
確認する度に、峰の心臓は、音を立てている。
でも、安心出来ない…。
サラは、この頃になると、妄想を妄想だと気付けなくなっていた。
怖い……。
ひたすら怖い…。
10分もしないうちに、サラは再びベッドから這い出て、また顔を洗った。
冷たい水で顔を洗い、タオルに手をかけた時、サラは思わず息を飲んだ。
タオルに小さな黒い点が、ビッシリついている。
その黒い点は、よく見るとモゾモゾと動いている。
「………!!!!!」
ハッとして自分の両手を見ると、両手は紫色になり、手のひら全体が痣の様になっている。
紫の手のひらには、濃い青色の血管が出ていて、よく見るとその血管の中にも、無数の黒い点がうごめいていた。
虫だ…!
サラは、とっさに両手を流し台に叩きつけた。
虫を殺すためだ。
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