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9章:四月一日 (2/5)

海の向こうは開花宣言だと、朝のテレビが言っていた。

昼休み。
相変わらず逃げるようにやってきた、会社裏の公園。
コンビニ袋から、サンドイッチを取り出した。

あれから、春人さんからの連絡はない。

たまごサンドを頬張りながら、ぼんやりと空を見上げた。
今日も灰色の空だ。

この公園にも桜の木はあるが、未だ肌寒い雪国の桜は、その蕾を固く閉ざしている。
まるでわたしの心のように。

びゅうと吹いた風が、肌を刺すように冷たくて、わたしは上着の襟を握った。
食べかけのサンドイッチを、またコンビニの袋にしまいこんで、公園を出た。

春が待ち遠しいくせに、春がくるのがこわかった。
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春 ©著者:柚木

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