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2章:春人
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「藤本さん、コピーまだ?」
眼鏡をくいと上げながら、甲高い声でせっつかれた。
「あっ、スミマセン…」
携帯を慌ててポケットにしまいこみ、頭を下げながら、コピー機に向き直る。
まだ?と問われても、コピー機は一生懸命に印刷された紙を吐き出し続けている。
わたしは、それをこれ以上早める術を知らない。
「就業時間中なのにポチポチポチポチ携帯ばっかり!困るのよねぇ」
粘っこい喋り方で嫌味を言う。
わたしが反論せずにいると、じろじろと頭のてっぺんから爪先まで眺めてくる。
「これだから若いだけの子は!」
フンッと吐いた鼻息が、こちらにかかるくらい荒い。
鼻を刺す匂いは、香水か、化粧品か。
「スミマセン…」
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春 ©著者:柚木
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