1章:メッセージ (5/5)

【届きましたよ。】

何気ないメッセージだったから、わたしも何も考えずに、その声に応えた。

他のメッセージは、あからさまに割り切りだの、不倫だの、援交だのと、返事を返す気も起きないようなものばかり。
そんな中で、その人のメッセージは逆に新鮮だった。

【うわ！初めて返事きました(笑)】

思わずくすりと笑ってしまうほど、拍子抜けするようなやり取りが続いた。

【俺は春人といいます。】

その人は、そう名乗った。

【33歳です。】

【12歳の子供がいます。】

春人さんは、海を越えた県に住む人だった。

常に敬語で、とても穏やかな話し方をする人だと思った。