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9章:斉藤
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9章:斉藤
新しい雌犬が来た。
可愛い顔をしているが、余りなつこく無い。
どっちかって言うと、無愛想だな。
エサをやっても食べないし…声を掛けても無視かよ。
その内、慣れてエサも食うだろう。
もしかしたら、緊張しているだけかもしれないし。
俺は雌小屋から出て、エサ等の備品を置いてある部屋にバケツを置き、雄のエサが入った皿を手にして雄小屋に向かった。
雌はまだいい。
仔犬を産ませる為に、雄より少しだけ多目にエサが貰える。
しかも、ケージに入っている為、別々に貰えるから食いっぱぐれ無い。
雄は小屋に放し飼いされているから、この皿2つに最低限と思われる量をやるだけ。
エサ争いに負けて、食いっぱぐれたら…。
出来たら均等に食わしてやりたいが、あいつらのエサ時の態度を見たら…下手に手を出したら噛まれるだろう。
さすがに、それは怖い。
小屋に向かう数メートル先から、犬達の吠え声が聞こえていた。
ドアを開け、エサに興奮した犬達の鳴き声はうるさいくらいで、耳がおかしくなりそうだ。
俺は、右手に持っていた皿を左手の皿に重ねて右手でライトのスイッチを探し、明かりをつける。
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届かない叫び ©著者:杜若 キウイ
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