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6章:【最終章ーー耀きの世界へ】
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「あ。香りはいただけます」
「ん、分かった」
彼の分も淹れ、ミニテーブルを挟んでクッションに身を任せた。
私はコーヒーを啜りながら詰問する。
「で?」
「え?」
「いや、だから。ファム・ファタールってどういう意味なの? それも唐突に現れて」
海老僧はもう大威張りで、胸を反らせて腕組みをした。
「それです、それ。フランス語なんですよ! 意味は、男にとっての〔運命の女〕。“運命的な恋愛の相手”、他の見解では“男を破滅させる魔性の女”のことです」
「ああ、[マノン・レスコー]を読んできたのね?」
「はい。空の図書館で」
「へ〜。天使の図書館ってどんな造りなの?」
彼は右手を伸ばして立ち上がった。
「天高く、こう……高く、本棚が青空に伸びているんです。あ、すみません! ご挨拶が遅れました! まぁちゃん、お久しぶりです」
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東京いろは歌 ©著者:七斗
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