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2章:曼珠沙華ーー哀しき緋色の女。 (43/43)

由利はつっと踵を返し、美しい横顔を見せつけた。花束からは、この世のものとは思えぬ緋色の情念が匂い立つ。


「ひとの欲って……とどまるところが無いのですね……私、また新たに夢が出来てしまいました……」


彼女は伸ばした黒髪をはらりとかきあげ、マンション横の路地に消えてゆき…………路地沿いの民家の陰から、すっと白い手だけが現れた。

すうっと斜め上に差し伸べられたその手は、一度止まり……ゆっくりと上下に揺れ始めた。


ーーおいで……おいで〜……こっちへおいで〜ーー


ダイヤモンドヘッドへと差し伸べられた手だ……駄目だ! 行ってはならない! 【幽霊花】の神経毒に……黄泉(よみ)へと落ちるのだ……!


〈うゐののおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす〉


ーー現世と冥府(めいふ)の狭間。


ああ……自分は魂を、絹糸で操られるように……ふらふらと路地に吸い込まれゆく……。




【曼珠沙華・哀しき緋色の女ー終】

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東京いろは歌 ©著者:七斗

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