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62章:仕事人 (1/3)

62章:仕事人

工場内で勤務していた時の話です。

そこは食品を扱う工場で、当然ながら白衣などの着用が義務でした。

靴すらも、工場の建物に入る時用と作業場用が支給されると言った徹底ぶり。

まあ、皆さん誰もが知っている大手企業でしたからね。

そこで製品のチェックとパレット積みをしておりました。

機械でケース詰めされて来る製品をパレットに積み上げている時、

背後に気配を感じる。

沢山、人の働いている工場でしたから、余り気にしていませんでした。

コンベアが止まって一息着いて後ろを振り向いた時、白衣が視界の端に映りました。

誰かな?

そちらを見ると、

誰もいません。

あれ?

気のせいかと思いました。


次の日、またパレット積みをしていて、後ろに何かの気配。

すぐに振り向くと、

やはり視界の端に、白衣が映るのですが…ハッキリとは見えません。

疲れているのかな?
幻覚?

その時は、その程度にしか思ってませんでした。

何度か同じ事があって、それが背の高い、男の人だと認識した頃に、同じ工場勤務のパートさんから聞きました。

パ「ここって、出るんだよね」

私「え?出るって?」

パ「見ちゃいけない物」

見ちゃいけないって…アレですか?

私「それって、あそこに白衣着て立ってます?」

パ「あら、杜若さん。見えるのね?」

私「はい、少し。
男の人ですよね?」

パ「そう、そう!」

私「ここって、誰か亡くなってるんですか?」

パ「さぁ?知らないわ」

やっぱり、気のせいじゃ無かったんですね。
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無意味な力 ©著者:杜若 キウイ

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