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34章:母の話…その7 (1/3)

34章:母の話…その7

母の若い頃の話です。

母は他の市の病院に入院中でした。

「父さんが危篤だから早く帰って来い。」

と、家から夜中に連絡があり、タクシーで帰ろうとしたのですが…この頃、深夜タクシーの運転手さんがいませんでした。

何故なら、その少し前に、こんな事があったのです。


深夜、タクシーが橋の上で女の人を乗せました。

その人を、家まで送ると

「お金が無いので、親に貰って来ます。
少し待ってて下さい。」

と、言って家の中に入って行きます。

運転手はその姿をちゃんと見たそうです。

しばらく待っても女の人は出て来ません。

「遅すぎる…。」

運転手さんは、その家の玄関のドアをノックして声をかけました。

「すいません。まだですか?」

家から寝間着姿のままの夫婦が出て来ました。

「こんな夜遅くに、何の御用ですか?」

運転手さんが、

「娘さんを橋の上で乗せたんですが、お金が無いので家の人に貰って来ると言ったきり、中々、出て来ないんです。」

そう言うと、夫婦は変な顔をして

「娘なら、去年、その橋の上で交通事故で亡くなってます。」

と、答えるのです。

その日が娘さんの命日だったそうで、夫婦は

「娘が帰って来てくれたんですね?」

と、タクシー料金を支払ってくれたそうです。


有名な話なので、知ってる人もいるかと思います。

そのせいで、タクシー運転手さんが次々と辞めてしまい、残った運転手さんも深夜に勤務する事を嫌がったらしいのです。

母が困っていると、たまたま同じ病室に入院していた人が、タクシー運転手の友達を呼んでくれたそうです。

「私も一緒に行ってあげるから!」

と、嫌がる運転手さんを無理に説得して、同室の人も病院を抜け出して車を出させました。
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無意味な力 ©著者:杜若 キウイ

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