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9章:9 (3/11)

「おねーさんひとりなのー?」

チャラそうな男が声をかけてきた。

「…友達と一緒です」

アヤちゃんの真似をして無視をしようとしていたのに、思わず答えてしまった。

「へぇー、一緒に飲もうよー。いいバッグ持ってんねー!シャネルじゃん!パチモン!?」

身分不相応とでも言いたいのか、男は私を見下しながらゲラゲラと笑っている。

泣きそうになる。

「どけよ」

声が聞こえた、アヤちゃんの声だ。

男がアヤちゃんを見る。

「え、友達なの?このブスと君が?」

ブス、分かってる。

私はブスだ、でもどうして何もしていないのに言われなきゃいけないの?

泣くのをこらえる。

「お前、言葉に気をつけろよ。ココでしかいきがれねえんだろ?女捕まえられねえんだろ?無様だな。人のこと言う前にてめえの面見てみろよ、ブッサイクだなあ。大口叩くなら裏VIP入ってからにしろよ、なあ」

アヤちゃんは怯みもせずに男を煽る。
ギャーギャー騒ぐ男とは違って、私と男にしか聞こえない声で。

「あ?クソアマ、コラ、ちょっと顔が良いだけで調子のんなよ、ころすぞ」

ころすぞ、その言葉にアヤちゃんの顔が一気に怖くなった。

「おう、ころしてみろ、ほらやれよ、何がクソアマだ?あたしがクソアマならクソアマに絡むてめえはなんなんだよ、おい、早くころしてみろよ」

アヤちゃんは自分の顔を男に近づける。
目もそらさずに。
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