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14章:悲劇か喜劇か
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14章:悲劇か喜劇か
家柄、お金、容姿、雰囲気、言葉、存在。
渚の全てが一瞬であたしに不安を蘇らせた。
渚の全てがあたしを焦らせたんだ。
「あれ?理恵!今日早いね。メールくれた?」
「ううん、携帯の充電切れちゃって」
「そっか、まぁ座ろっ♪」
光輝は少し赤い顔で あたしの卓に着いた。変わらない笑顔と優しい声、やっぱり大好きなんだ。
あたしは光輝といつものように話して、いつものように時間は過ぎていく。
でも、ふと思う。さっきまでここに座っていたのは。さっきまで光輝が笑顔を向けていたのは…
あたしは光輝を信じてる、信じてるよ。
「ぁ、理恵、ちょっと待っててね」
他卓で指名だろうか?いつもは気にならないのに、今日はすごく気になる。行かないで、なんて言えない。
「すぐ戻ってくるからね」
光輝はそう言って席を立った。光輝がいなくなって少ししてから、あたしはヘルプに言った。
「シャンパン入れて。これとこれ。」
「ぇ……はい!」
光輝、早くあたしを見てよ。早く戻ってきてよ。
そう思っての、軽率な行動。
そしてこれが、掛け地獄の始まり。
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