ホストという世界の中で、「神崎」の名を知らぬ者はモグリだ。

そう言われる程に、「神崎」は伝説化したホストだった。

一応現役は退いているとは言いながら、業界でも数少ないオーナー社長として経営の手腕も振るいつつ、「神崎」の店だから通っている客も相当数抱えていた。

龍雅といえども、その実力は負けを認めざるを得なかったし、また神崎がいるからこそよりハングリーにもなれた。

そんな龍雅を、自身の若い頃に重ね、誰よりも期待していたのは神崎だった。

「龍雅も、ここらでもう一皮剥ける頃かな。。。」

愉しそうな神崎に、その場に剣人が居合わせたなら脱兎の如く逃げ出しただろう。

一番見込まれている龍雅は、そうとは知らぬままに、何度も課題を出されていた。
その都度成長してきた龍雅に、今度は何を仕掛けるのか。。。

全く、神崎は喰えない男だ。