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9章:それぞれの事情
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9章:それぞれの事情
剣人は、約束通り一円もお金を使わせない代わりに、私を逃げ場 いわゆる”休憩卓”にしていた節がある。
ホストの仕事は、とにかく飲まなきゃ始まらない。
元々酒の強い鈴木でも、毎日じゃ平気なわけは無い。
驚く事に、アフターしてくれないから、店休に会ってくれないから、挙句は抱いてくれないからと臍を曲げ、散々駄々をこねたり無理矢理濃い酒を飲ませる客もいるようだ。
私にしたらカルチャーショックだ。
どうして女が金払ってまで会って貰ったり抱いて貰ったりしたいのか???
そういうものは、餌として散らつかせて、ご褒美の高価な食事やプレゼントを貰うだけ貰い、落ちそうだと思わせたまま一線を引く。
それが当たり前だと思っていた私には、理解出来るわけも無い。
なぜ大枚はたいて、挙句ご褒美に抱いて欲しいわけ⁉︎
逆でしょ、逆!
しかも、私の見る限り、そんな要求をする女性達の多くは、外見だって悪くない。
悪くないどころか、ルックスの良い人も多数いた。
龍雅さんの説によると、何故かそういう人の方が、店外だアフターだ、キスして抱いてって要求は多いらしい。
私「それって男からしたら美味しいんじゃ無いんですか?」
そう質問してみると
「そーでも無いよ。そういうの目当てでホスト始めるヤツには美味しいんだろうけどね。」
と引きつり笑いで答える龍雅さん。
私「ふーん。じゃあ私が龍雅さんを誘惑しても安全だね。」
龍「それは別腹! ほら早く脱いで脱いで」
ふざけているところに剣人が戻って来た。
剣「龍雅さん、まーた莉菜の隣り座っちゃって、しかも何脱ごうとしてるんですかwww いくら代表でも爆弾禁止っすよ!」
ヨイショって感じで龍雅さんを押しのけ隣りに腰掛ける。
私が”爆弾”って言葉を学習した日だった。
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