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2章:男の玩具
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2章:男の玩具
「おい、今日学校が終わったら役場ん近くにある『金ちゃん』ゆう飲み屋ばあるやろ?そこに来い。美味いもんば腹一杯食わしてやるけん。そんかわり母ちゃんには内緒にするんやぞ、わかったな?」
母が便所に行った隙に大迫が囁いてきた。
私は黙って頷いた。
「どうも腹ん調子が悪か。便所紙もきれてしもたし、今日は原田先生んとこば行って、それから買いもんばしてから帰るけん遅くなるけぇね」
母は下っ腹をこすりながら便所から出てきて早々、そう言った。
「大迫ちゃんは何時頃帰ってくるん?なんか食いたいもんばあるとね?ん?」
「いや、わしは今日は仕事場ん奴らと飯ば食ってくるから飯は要らん」
そう言うと、大迫は味噌汁を一気に飲み干して立ち上がった。
母の顔からは寂しさからなのか、腹痛からなのかはわからないが笑顔が消えていた。
「ほんなら行ってくるで」
大迫は私の方をちらりと見やり、ガタガタと建付けの悪い玄関扉を舌打ちしながら開けて出て行った。
「ほんまに仕事場ん人らと飯ば食いに行くんやろか?あんなこつ言うてまた新しいおなごんとこば会いに行きよるんやなかね」
誰に言うでもなく、母はただもくもくと米を口に運んでいた。
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