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5章:昼顔
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それにしてもリアルな夢だったなぁ。
正夢にならんかな。なんつって。
今またすぐ寝たら夢の続き見れるかな。いや、無理だろうな。
それにしても、夢の中で玄関の覗き穴から見たJの顔…。
怒りに満ちているでもなく
苛立ちを露わにしているでもなく
この世の終わりみたいな、絶望的な哀しみに満ちた顔をしていたな…。
あんな顔をさせてはいけないよな。
あの切れ長の鋭い目つきが本当に…
「かなちゃん、パン買ってきたよ。ほら、食べて。」
「ありがと…。ん?」
「何?」
「い、いや何でもない。」
パッチリお目目のJが不思議そうな顔をしている。
Jじゃない。
私が夢の中で見た、夢の中で旦那だと思っていたあの男…。
あれは、元元彼の長谷川だ!
私の浮気を疑っては、どこにいようが、夜中だろうが部屋に来たり、実家まで行ったり、働いていたキャバクラやアフターに行きそうな店を探し回ったりした嫉妬深いあの男。
私って奴ぁ…。
「J、キッシュ食べる?」
「食べる!ほうれん草とベーコンのやつがいい!」
「了解。材料買ってくるね。」
私は顔を洗い、化粧水、乳液、日焼け止めのみをつけていつも通りのよれた部屋着に毛玉のついた上着を羽織り、財布だけを掴んで買い物に出る。
間違いが起きないように…。
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