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6章:二人の時間へ その1
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ナタとの時間・関係は、カミサン、ギコ…と櫛の歯が一つ欠け二つ欠けして行くうちに濃密になっていったと思う。
フリーランスになってしばらくはショボい仕事にしかありつけず、カミサンには散々苦労をかけたものだ。
だけど、ある時をきっかけに軌道に乗り始めてからは職人気質も手伝って、気に入った納得の行く仕事しか請けなくなっていた。
実際、それでもそれまでの食うに困るということはなくなるばかりか、1年の内、半分だけ仕事して後はその分で人並みよりちょっといいくらいの生活が出来るまでになっていた。
そうなったからには恩返しして…という発想ができなかったんだから相当なアフォとしか言いようが無い。
仕事のなかった時期の不安定な収入の頃を思えば、今こそ稼いで貯めておいて欲しかったに違いない。
カミサンは相当、不安・不満が積もっていたはずだ。
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