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5章:痛みと記憶
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ユウは裸足のまま制服を整え、一条にお辞儀をした。
「先生、勉強見てくれてありがとう。明日からも頑張ります」
「ああ。上靴は洗って干しておいてあげるから、気をつけて帰るんだよ」
「うん。ね、スカートの下がスースーする」
「……家に帰ったら暖かくしてあげなさい。やり方はわかるだろ?」
「ん……先生さようなら」
「さようなら、また明日」
ユウは冷たい廊下を裸足で駆け抜けた。
それから二週間後の学年末試験。
何度も右腕を擦りながら受けた試験で、ユウはこれまでにない好成績を修めた。
修了式の日、この成績ならK高校も狙えると告げる一条に、ユウは右腕に触れながら微笑んだ。
制服に隠された肌にはまだ無数の歯形が残っていた。
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