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3章:熱帯の氷
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二人は部屋を片付けてからシャワーを浴び、しばらくして帰宅した慎司の母親に予定通りの説明をしてシーツを見せた。
少し色の付いた大きな染みのあるシーツである。
慎司の母親は二人を叱ることもなく、受け取ったシーツを洗濯機に入れてくれた。
「作戦成功だね、しんちゃん」
「俺たちって演技派かも」
「ね、明日は何しようか?」
「ゲーセンでも行く?涼しいところに行きたいね」
「うん。夏休み、まだいっぱいあるもんね」
明日の予定に心を躍らせる。
二人は夕暮れの町でユウの家までの道を、満たされた気分で歩いていた。
作戦は成功したかに見えた。
しかし慎司の母親はユウに何度も謝られながら、服が汚れた様子のないユウと、服を貸した様子のない息子の姿とを冷静に見つめていたのだった。
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