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50章:collar
寒さも和らぎ緑鮮やく春になると近所の公園の花壇にはチューリップの花が植えられ子供たちの笑い声が響いていた。
晴天に恵まれた週末、青空の下で結月は穏やかさを取り戻し幸せそうに洗濯物を干していた...
寝室のシーツや布団を全て奪われバルコニーに運ばれたそれらは日射しを浴びている。
仕方なく祐也は彼女の世話しなく歩き回る足音を聞きながらリビングのソファーで横になっていた。
仕事を終え漸く眠りについて数時間でベットから追い出され不機嫌な彼にお構い無しの結月は、この気紛れな太陽の機嫌が損ねぬうちにと祐也をソファーに移動させたのだ。
祐也( ここじゃ明るくて寝れねーよ。 )
結月( だってこんなに晴れたの久しぶりなんだもん。私の部屋で寝る? )
祐也( あんな服に囲まれたごちゃごちゃした部屋で寝れるか! )
結月( 神経質だなぁ...。 )
祐也( 腹減った。何か軽く作ってよ。 )
結月( 今日はランチ行くんでしょ?だーめ。 せっかくの料理食べれなくなっちゃうよ。 )
祐也( じゃ早く支度しろよ。 )
結月( わがままだなぁ。支度するために家事してるのに。 )
エプロンを外した彼女は漸く自分の部屋に向かうとメイクをするため靴や服や雑貨たちに囲まれた一室に入っていった。
祐也もその後に着いていくと、結月の部屋の雰囲気もすっかり変わり、メイク台やふわふわのカーペット、白で統一させた衣装ケースに小さなテーブルには沢山のマニキュアが並んでいた。
安物のソファーに横になるとリビングとはまるで違う、女の子の部屋に遊びに来たような...自分の家ではないような感覚に襲われた。
祐也( ソファー硬った。もう少しいいやつ買えば良かったのに...。 )
結月( いいのっ。私には贅沢すぎる空間よ。 )
メイクをしている結月を眺めながらあまり入る事のない室内を見回す。
アロマオイルが香る部屋に集められたコレクションたちは綺麗にそれぞれの場所におさまっていた。
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