波の音を聞きながら彼女の手を握りしめた。
その手は冷たく冷えきっていた。
祐也は彼女を車に乗せると暖房の温度を少し上げた。




それでも彼女は窓をあけその音を聞きながら微笑んでいた。
しかしその表情はなぜか寂しさすらも伝わる。



祐也( このへん休む所無いみたいなんだ。少しここで横になるか。)




結月(うん。ここがいい。 )




祐也( 寒くないのか？窓あけてたら風ひくだろ。)





結月(いいの。このままでいたい。 )




祐也は彼女の服を脱がせると先日購入したアルパカのような部屋着に着替えさせマフラーを首にまかせた。
靴下が大嫌いな彼女の素足にいつもの膝掛けをまきつけると
後部座席の窓を背にしている自分に寄りかからせ毛布をかけた。




結月(あったかい。 いたくない？大丈夫？ )




祐也(大丈夫だよ。もう少し休めよ。)




結月(うん...。 )




そのまま目を閉じると深く息を吸い込み眠りに入ろうとする結月を抱きしめ祐也も眠りについた...