結月( みんな、消えちゃった。)


祐也( えっ？ )


結月( パッて。 まるで魔法みたいに... )



祐也( どういうことだ...。 )



結月がまだ18の時だった。


病院へ行く為、一人都内へ来ていた彼女は、診察が終わり家族と待ち合わせをしていた。


職人だった父親、専業主婦の母、兄二人と結月を拾い家族旅行に行く予定だった...



いつまでたっても現れない家族を心配していた矢先、おばからの連絡により事故があったと知らされる。



信号無視をしたトラック、兄が運転する車に正面から衝突。
車は大破、兄貴二人は即死だったそうだ...



うしろにいた母は救急車で運ばれ直ぐに病院で息を引き取った...



彼女の父親は一晩生死をさ迷い結月とおばの前で息たえた...



当時、家族4人を失った大事故として新聞にとりあげられ目撃者は悲惨な事故だったと証言している。



あのときの バーン！！！ という音が、耳から離れないと...



結月( 悲しいとか、怒りとかじゃないんだよ。本当に辛い時、人って無になるの。神も仏も、この世には存在しない。)