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29章:苦しめたのは私。
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29章:苦しめたのは私。
どうしたの?
どうして泣くの?
何かあったのなら俺に話して。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
何も言えないんだよ。
私があなたを苦しめる原因だった
と知らされて…
それが、
悔しくて悲しくて情けなくて
泣いてるのよ。
でも、あなたには言えない。
また、あなたは嘘を重ねて
苦しみの中から
優しい言葉を吐くでしょう。
そんなことないよ。
泣かないで。
抱き締めてあげるから
俺の胸においで。
私に言うはず。
あなたに話してしまったら
また、困らせてしまう。
あなたは私を
癒そうと必死になる筈。
だから、言えない。
いくら泣いても後悔しても
この苦しみと絶望感は
あなたを翻弄させた私の罰。
大好ききな人を
一番苦しめたのはお前だよ。
どうして、好きな人を
苦しめるような事したの?
お前は、
ただ力で捩じ伏せたんだよ。
そんなだから
彼もお前から逃げるんだよ。
当たり前でしょ?
大好きなあなた、ごめんなさい。
ほんとうにごめんね。
この事はあなたには言えない。
きっと
そんな事ないよ!違うよ!
そう言って
私を慰める筈だから。
もう、これ以上あなたに
苦しみを重ね
させてはいけないね。
私だけが苦しみ消えたら
何も知らなければ、
あなたは楽になれるよね?
私から解放されて、
あなたは笑えるよね?
大好きなあなた…
たくさん笑ってね。
いっぱい幸せになるんだよ。
苦しめてごめんね…
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月の見えない夜 ©著者:蝶
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