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11章:灰色の羽根
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11章:灰色の羽根
恐ろしいほど
優しいキスをする、あなた。
寒気がするほど
とろけるキスをする、あなた。
こうやって私を紛らわす。
あなたの唇に全てを委ね
この想い
気付かれないように
そっと柔らかく重ねる。
すぅーっと、私の中へ
あなたの空気が流れ込む。
あなたが何を考えているのか
私にはわからない…。
私に見透かされないように
頑なに心を閉ざしてる?
心は、閉めているのに
口は開いているのね。
いやらしい…。
離さないと言わんばかりに
きつく抱き締めたのに、
次の瞬間
私を羽根の様にふっと
吹き飛ばしてしまう。
私は、どちらにも染まれない
灰色の羽根だから
月の出ない街では
もう見つからないよ…。
いつも付いてくる
影だと思っていたら
気付いた時には、もういない。
私は、あなたから
ゆっくり逃げられたら
理不尽な自分に
ほっとしながらも
たくさん泣くでしょう。
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月の見えない夜 ©著者:蝶
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